初対面どうしが気楽にデュエットで「銀恋」唄うカラオケ喫茶

わが孫に二礼二拍手一礼の作法を教える初詣でなり

*新しき役員決める忘年会三本締めにてことなく終わる

新年会男と女が半々で交互に座り和やかになる

改憲と秘密保護法気にかかるインフレ策は正し いと思えど

凍てし 地に陽が射し じ わじ わ溶けてきてグランドゴルフ打ちにくくなる

イスラムに拘束されたる日本人針の莚(むしろ)に座る宰相(平成二十七年一月二〇日)

「かさ神」の小野小町にあやかりて霊水汲んで瘡にすり込む(延算寺)

*そ っと来て用足す猫に鞭くれよわが庭まもる「龍のひげ」なら

*白銀の御嶽はるかに望みつつウオーキングする長良川堤を

剣道の道場へ子を連れてくる親たちが交わす礼儀の正しさ

茶店にて煙草を吸うかと問わるれば吾れは応える「ど っちでもいい」

あちこちでイスラム国に呼応する 脳裏をよぎる浅間山荘事件

春場所の優勝争い腹が立つモンゴル勢に独占されて

日本の過去の過ち「侵略」と言うや言わずや世界が見ている(迫りくる戦後七十年の安倍談話)

新し い電子レンジはオーブンやスチームが付いて扱いにくい

*鬼ごっこの相手もできず藤棚の下のベンチで孫を見守る

*寝ているや否やと耳もと旋回し確かめに来る憎っくき蚊のやつ

つね日頃耳を傾け歌詠まん自分の中の子供の心に

梯子かけ屋根に上がりてペンキ塗る若き女の職人現る

若き娘とラリーのつもりがバックへも一発勝負で打ち込んでくる{卓球の練習}

待ちきれぬライダーたちのツーリングまだ雪残る西ウレ峠を(せせらぎ街道)

マージャンのさ中に好きなカラオケに話が咲いて途中で抜け出す

慎重になり過ぎ的を外すとう松田選手の話し にうなずく(射撃・上田ゆい選手への助言)

*のど涸れんばかりに「瞼の母」唄う彼の生い立ち知る由もなし

*ボウリングに負けて声上げ泣いている小四の孫をそっと見守る

朝早く妻は善光寺へ出かけ行く回向柱に触れて来んとて

健診で骨密度の値低かりき男でもまれにあると言わるる

巨大なる桧の根元の大いなる祠(ほこら)は精霊宿りし跡か(上松・赤沢自然休養林)

*青い目のペアーが団扇(うちわ)を背なに挿し下駄をひびかせ妻籠の町ゆく

ただひとり嫗が留守番する店でいただく饅頭のクリ大きかり(馬篭宿・川上屋にて)

石畳敷く坂道に家並みをスケッチしている女がひとり(馬篭宿)

武道館の試合に孫が出るという一つうな丼食わせてやろう

*金賭けず呑まず吸わずに牌を引くこのマージャンを老いが楽しむ

麻雀に疲れし後は湯に浸かり気分を入れ替えカラオケに行く

*改憲をアベノミクスなるオブラートに包んで民に飲ませんとする

*「存立の危機!」と首相がつぶやいて日本からミサイルが発射される日

*ケイタイが一日行くえ不明なり愛車の隅で休んでいたよ

階段の隅にコウモリのミイラあり  岩窟に潜みし日本兵浮かぶ

雪の無いスロープを巧みにパラレルのターンで滑り下りくる若人(夏スキー・ウイングヒルズ白鳥)

*カラオケに参加と最初に名を書かるる俺は人寄せパンダではないぞ

肩を抱き唄えば黄色い声が飛ぶシニア仲間のカラオケ会で

*採点を入れろ入れるなとかし まし い シニアが集うカラオケの店

*トラックの助手席に乗るわが妻はワンちゃんのごと外を見ている

[火事です!」と夜半にとつぜん警報音  蚊とり線香の煙りがもうもう

地に落ちたパンを口にてつかまんと這いつくばるなりパン食い競争

綱引きの綱が揺らぎて胸を擦り寝返りに苦しむ三週間となる

つね日頃楽しき何かを見つけ出し自分らしさを演じて行かん

藤棚のごとく広がる柿の木の下をくぐりて玄関に着く

声高く通して唄う「蒼き糸」九十歳のわれらの先輩

混合のダブルス戦に出るというペアーの阿吽(アウン)は夫婦と同じ

金色の紅葉の奥にひっそりと深く息づく流れ「八滝」

*ひこ孫がいく度も髪をひっぱりぬ怒れば怒るほど喜んで

*男なのか女なのかが判らない女心を唄っている人

*七十歳過ぎた女が流し目で唄うは「二時間だけのルージュ」

*焼きたての秋刀魚に酢だちと大根の卸しを添えて秋を味わう

山を越え谷を渡りて落葉松の林を抜け行くドラゴンドラは

世界遺産への登録為るか「めがね橋」心なき者の落書きあれど(碓氷峠)

三時にはアンパン一個とコーヒーで小腹を満たすいつものコンビニ

わが庭のカリンが今年は実をつけぬハチミツ漬けにして備えよう

デュエットで唄えば次つぎ口ずさみ大合唱となるカラオケボックス

*湯上りに大広間で聴く弾き語り森山良子の「さとうきび畑」(三田洞温泉にて)

各地にて多発している自爆テロ神風特攻隊がその元祖なり

*ガラポンで湯たんぽ当たり喜ぶもつかの間孫に持って行かれる

*アツアツの「人形焼き」をかじりつつ仲見世通りを押されて歩く(浅草寺)

ていねいに観音様の頭拭くもの忘れさらに進まぬように(巣鴨・とげぬき地蔵尊高岩寺にて)

お台場の屋形船にて揚げたてのアナゴの天ぷらたらふく食べる

木更津と品川発が行き合って荷を受け渡す「海ほたる」かな

*下町のカラオケ茶屋にスレンダーな大島紬の美人あらわる

人生に徒労はないと言う人に親しみ覚ゆる七十四歳

不揃いはあれど旨かり知り合いの伝で求めし和歌山みかんは

正月というに蚊取り線香を焚く今度は火災報知器が鳴る

もう少しスカッとならぬか近頃にリリースされる恋歌の詞は

達筆の年賀をくれる彼の人もよく知り合えばただの人なり

何処からか小唄もれくる春の宵想い出すなり初めての夜を

蝋梅の苗木を二、三本植えてみる何時か咲かんと雪舞う庭に

切々と唄う純平に涙するハスキーボイスでこの世の無常を(小田純平)

改憲につっ走らんとする首相陛下のごとくつつましくあれ(陛下のフィリピンへの慰霊訪問に)

唄うなり人が聴こうと聴くまいとただただ自分の生きがいとして

テレビにてわが意を得たりと涙ぐむわが顔何度も覗き込む孫

よき時代(とき)によき国に在りナマンダブわたしの人生しあわせだった

若き娘に打つ牌遅いと急かされてますます手の内定まらぬなり

大切なお金は貸すな呉れてやれ返ってくると思うべからず(貸借に因る事件多発)

*古代には歌のやりとり今「ラップ」時代は変われど行き交う心情

意気が合いデュエットするなりカラオケの店で初めて出会った人と

*水張田を反転しては往き来するツバメに一日の朝が始まる

想い出すごとくに夜半に誹(そし)りだすホトトギスの声夢かうつつか

今の歌言葉もメロディもややこしい昭和の歌は明快だった

舛添もついにボケたかわれわれは町内のコピーにも身銭を切るというのに

上り牌引いてもパッと点数が出てこぬ初心のもどかしさかな

山ぎわの樹を切るべきかひと揉めす駆りだされたる町内掃除で

日は西に傾きわが脚さらに伸びその影スカイツリーに似たり

デュエットで唄った後に腕を取りステップ踏めば黄色い声飛ぶ

*各地でのI S 事件に思い出す日本赤軍の若者たちを

チェウニさん舞台で唄うその顔はピンクの木槿(むくげ)の花のようです

蒼黒く熟したブルーベリの実選んで採りゆく鳥の来ぬ間に

*職もなきデフレに長年苦しんだ民が選んだインフレ政策

カラオケ店で九十女に「おばあさん」語りかければ睨め返さるる

*孫とする「神経衰弱」トランプは何回やっても必ず負ける

*緑陰を静かに映す池の面に突然白きトレパン走る

温暖化の波もここまで黒部川「鐘釣駅」にも残雪は無し(八月)

先人が拓きし労苦想いつつトロッコに揺られ渓谷を行く(黒部峡谷鉄道)

*かぶりつく鮎の串焼きほろ苦し一瞬感ず秋の気配を

道端に並ぶデラウエアが知らぬ間に巨峰に変わりて秋を知るなり

東京の豊洲に生れた伏魔殿ぼくも私も“見学した~い”

渋い茶で頂くおはぎのやわらかさ甘さもほどよく腹に納まる

じっと耐え正攻法で勝ち上がる豪栄道にわれ見習わん

*舞台にて見つめ合いつつデュエットをうたえば楽し「たこやき日和」

波荒き海に網引く男らの「北の漁場」を女が唄う

彼の人はひとりでデュエット曲唄う男と女の声使い分け

また来よう此のカラオケ店へ こっそりとチケット三枚ママがくれたから

昼食の合間にひと風呂浴びてまた痲雀を打つ三田洞温泉

*お昼どき「食べてみてよ」と手作りのおかずを互いにやりとりしてる

晴れ姿撮ってあげたらお礼にと飾りかぼちゃと柚子をいただく

カラオケで隣りに座った他人には声かけてみる「近くにお住まいですか?」

*あらためて大和撫子ここにあり豊洲の地下を暴いた小池

人心をつかんだトランプのスピーチの真価がまさにこれから問われん

*三年は眼を閉じ黙ってがんばろう喜寿に始めたダンスであるから

*青春の止まっていた時動き出すリズムに乗ってステップ踏めば

驚いた もの静かなるあの女(ひと)がリズムに合わせステップ踏むとは

トレモロのギターの音色の哀しさが心に染み入る「アルハンブラ宮殿…」

鵜匠の言「もつれた縄を解くにはもつれていない縄から解け」

デュエットで「酒買ウテコイッ!」と相方に大きく怒鳴れば大きな拍手

*別人に生まれ変わった気分なり仮装でデュエット楽しくうたう

デュエットで唄うは「出張物語」老いが楽しむママゴトゴッコ

*次年度の自治会代表決まらない最後はくじを引くことになる

トランプ氏のツイートジャブのごときものトヨタも対応慎重にやれ

*家建てし時に笑った階段の手摺りに今はつかまり下りる

*お勤めか旅に出るのか朝早く家の前行くハイヒールの音

カラオケの新曲きそってわれ先に覚えてゆくのが生きがいなのか

戦前の教育勅語を唱和する園児教育これでよいのか

つね日頃貰うばかりで能がないひとつ気張るかホワイトデーには

どうしても「瞼の母」は唄えないセリフが言えない胸がつまって

指と口身振りもよろしく替え歌を真摯に唄うママに脱帽

千秋楽結びの一番制したる男の頬に流るる涙

*世界中をアッと言わせるトランプの次なる一手にさらに期待す

座っている間中おしゃべりばかりなり日帰りツアーの後席二人

両脇に女が駆け寄りデュエットす真中で戸惑う年輩男

*ほととぎす朝早くからせきたてる「キョウハグランドゴルフガアルゾ!」

*春の宵外では猫が騒いでるわれはメールを黙々と打つ

四人目のデュエット曲を唄い終えルンルン気分で壇より下りる

最後まで話しを煮詰めず意図ありて話のベクトル変えようとする(国会中継)

七夕に願いを込めて短冊に記す「百歳でも青春!」と

どこまでも変わらぬ藤井の冷静な姿に熱きもの湧き出づる(二十九連勝)

鳥が来てついばむ前に糸を巻くブルーベリーの実を守るため

カラオケの唄始まればその声を蓑におしゃべり始める女

*台風にあおられぬよう養生すわが庭に咲くコスモス愛しく

問いつめられ二人の間の関係はオフホワイトとすまして答う

*一線を越えてるのかと記者が問う朝の茶の間のテレビの品格

朝方の通りの雨に迷うなり行くべきか否かグランドゴルフに

長々と つらなり流れ落ちて来るソーメンすく って満腹になる

今切れば転移はないと医師のいう言葉に吾はすなおに従う

峠を越え杉繁りたる森を抜けようやくかさ神さんへ着きたり(三田洞側より登る)

かさ神さん裏より登るつづら道カサコソ枯れ葉を踏みしめて行く

ウグイスの初音を聞き つつ登り行くかさ神さんから三田洞への道

「かさ神」の小野小町にあやかりて霊水汲んで瘡にすり込む

*馬に乗り荒野を駆ける夢を見た今年はぜひに運気上げたし

*外は雨手綱を取ればポチうめく「今朝ノ散歩ハカンベンシテクレ」

*ほんとうの親心なり薬にて勾留中の子の保釈せず

*青い目のすげ笠かぶった修行僧おかげ横丁の人ごみに立つ

*「いい人ね!」言われた言葉が気にかかる褒められたのか蔑まれたのか

デュエットではそっと背中を支えよと教えてくれたカラオケの女(ひと)

ほろ酔いで彼女の唄う「みだれ髪」気持ちもゆるんで結句ものびーる

おだてられ昨日とおなじ唄うたう俺はパンダかカラオケ店の

*「母ちゃんの浜唄」聞けば浮かびくる終戦時代の必死の生きざま

カラオケを覗けば不倫の唄多し人の心に住みつく心情

*眠ってたアドレナリンが目を覚ます喜寿を迎えてデュエットすれば

帰る客かならず外まで見送りに出るカラオケのママに脱帽

替え歌で唄えばどっと響めきぬ 〽岐阜は太郎丸「チャンピオン」に~

*「せんせい!」と可愛く唄う還暦を過ぎた女がセーラー服で

どよめきぬ米寿と喜寿がデュエットで「…ふたりは不倫草」と唄えば

デュエットで不倫の歌を唄うのは暇なる老いのママゴトゴッコ

*「お嬢さま」「若奥さま」と替え歌で唄えば長寿の顔もほころぶ

*信玄の使いを鵜飼でもてなしたやさしき顔の信長を知る

西空に上弦の月かたむきて遥かなる日の母浮かびくる

あの頃は明快だった売り上げの半分その日に持ち帰っていた(今、裁量労働制)

年金の受け取り申請複雑にして年寄りを惑わせている

*肺がんを切るか切らぬか決めるのが大変つらい患者本人

*喜寿過ぎた夫婦で運転する車気づかい多く助手席疲れる

トサミズキ・レンギョウ・ボケにユキヤナギわが世と謳う庭の花たち

*ひとひらづつポタッポタッと落ちてゆく役目を終えたモクレンの花

*墓石の間にぬっと現われしニホンカモシカと見合すしばらく(高山市国府町・安国寺にて)

ひと息で「パタカラ!」何回言えたかを競い合ってる脳トレタイム

二回もの帝王切開・胆石に肺ガン切除とがんばる大和撫子(ナデシコ)

肺ガンの手術後十日でもう退院時の流れの速さにびっくり

カラオケやグランドゴルフで七十路が張り合う意地も「半端ナイッテ!」

早朝の木立に流れるウグイスの声をけ散らすカラスの罵声

カラオケへ男の車に乗せられて行くなと言われ戸惑う女

*初対面の人でも握手をするを機に親しみがわく旧知のごとくに

*デュエットした九十女性がささやいた「ワタシ施設へ慰問ニ行クノヨ!」

デュエットで「千代ちゃん」「ヒデちゃん」と呼び合えば二人は戻る小学生に

人気ある店に入れば九十分待つ身となれり一曲唄うのに

*社会への恩返しと言うおじさんの二歳児救出頭が下がる

*風が吹き地ゆらす天災地変にも人ごとなりと気にせず昼寝す

雨戸無いガラス窓にはベニヤ張り台風待てど風吹く気はなし

デュエットで唄えばいろいろ耳に入る忠告なのかやっかみなのか

*月に二度九十五歳のおじ いさんハンドル握ってカラオケに来る

*「ま っ赤よりふじ 色のドレスがよく似合う」話し かければ笑顔がうなずく

免許証の認知検査の帰り道カラオケ仲間の待つ店へ寄る

親し げに話し かけられ戸惑いぬ「あなたはどちらさんでしたかね?」

左足にも力の入ることがある右足だけで運転できるのに

かさ神の茶屋にて食べる五平餅いと香ばし くお代わり頼む

年号は移りてゆくが忠恕(ちゅうじょ)なる皇室精神つづいてほし い

頂きは遥か遠くに霞んでる歌って詠って森の中行く

*多度大社・お千代保稲荷に南宮と欲ばって参る一月七日

縁うすくなった人には目をつぶりエイッと年賀状切り捨ててゆく

年明けて二回目の卓球の練習日餅二ヶ入りのぜんざいいただく

ざわめきも一気に鎮まるカラオケの演歌のさ中に詩吟がひびけば

四組の兄妹夫婦がデュエットでカラオケ唄う温泉の宿

「寅さん」を演じた舞台の昭和座も今じゃハイウエイオアシスの中(東海環状自動車道・美濃加茂SA)

小三の女子が踊って見せくれる一生の間の女の所作を

「令和」という名前は多いが一番に喜んだのは何処の誰なのか

喜寿過ぎて二人で「出張物語」唄えば浮かぶ新婚の頃

むらさきにひらいて白へと色変えるニオイバンマツリの花のはかなさ

道の駅「平成」という名は残るのかツーリングで賑わう最終土曜日

「てっぺんでラジオ体操してきたよ」朝早いのに下山の人あり

「二輪草」いつの間にやらカラオケで「…二人は不倫草」と唄われている

アジサイの花がブルーかピンクかは育てる人の気持ちで変わる

滑らかに腰をふりふりドュエットする相手は馬術のインストラクター

階段で転げ落ちたとよく聞くが人ごとならず我が身に起きた!

寂聴の法話を聞けば気力湧くドンと背中を押された気分!

金婚を迎えてお宮と貫一の銅像前で同じポーズする

見抜いてた「智に働けば角が立つ」社員教育不祥事多発す

お目当ての先生に診てもらうには半日の時間と労力が要る(大学病院)

五センチの動脈瘤との診断でも手術の決心その場でできず

皮をむき物干し 竿に吊るすなり初めての体験干し 柿づくり

新曲を競って覚えてゆく努力つづける友に頭が下がる

カラオケの店に年寄り集うのは男と女の社交場だから

剣道に励む孫には五平もち腹いっぱいに食べさせてやる

トンネルを抜けた瞬間対向車西日の中より現われ出づる

早朝に飛びだしてゆく救急ヘリ病院内より北に向かって

レントゲン写真に写る五センチの動脈瘤が切除を促す

手術した夜は気持ちが昂ぶりてアレコレ言う顔のぞき込む妻

病院食食べねばならぬと思えども完食なかなかむずかし いもの

ウグイスの初鳴き聞き つつ登りゆくかさ神さんから三田洞への道

喜寿過ぎた夫婦でやわってまた仕舞う雛人形も疲れ顔だよ

動脈瘤・脳内血栓除去手術それぞれ受けたる七十九才夫婦

手術後は腰がふらつきリハビリすメタセコイアの公園歩いて

どのくらい離れて対面すべきかと見えないコロナウイルスの怖さ

十五人くらい入れるカラオケも今は三・四人がパラパラと

テレビではコロナ犠牲者日々報ず感染怖くて外へ出られず

全国のコロナウイルス一本のペットボトルに集めて焼却!

味噌タレの焼けた匂いが俺を呼ぶ散歩の後の五平餅茶屋

五平餅の香りに誘われ一服すかさ神さんへお参りし た後

その昔小野小町や白蓮も休んで行ったかかさ神の茶屋

かさ神へ参って一服し た後は脚延ばし てみる「小町滝」ま で

妻の作る料理は味が辛すぎる何度言っても直ることなし

一日中モーニング の付く喫茶店マスターが来て「よ う おんさ った!」

多すぎる機能は吾れには不要だと昔ながらのガラケー使う

「早ヨー起キヨ!何時マデ寝テル早ヨー起キヨ」朝からウグイス急き立ててくる

マスクしてカラオケ唄うと半年前誰が予測をしていただろうか

どのように「語る」ごとくに唄うのか それがカラオケ最初のポイント

大腸の中へカメラを通すには二リットルもの下剤を飲んでから(大腸内視鏡検査)

大腸の中にもガンが見つかりてわが生涯の一大厄年(七十九歳)

退院後の朝な夕なの散歩とき見知らぬ人が声かけてくる

手術後は便の調子が定まらず下剤の加減で自己調節す

リハビリで術後に歩く田舎道「カアカア」と馬鹿にしてくるカラス

何事をするも気楽に取りかかる七割できればまあ良しとして

山ぎはに現われ出づる三日月が
二重に見ゆる七十九歳

カラオケ終え いっ時憩う公園のメタセコイアの大樹の下に

散歩中にひと休みする柿の木はカラスも食わぬしぶ柿らしい

誰がコロナ拾ってきても全滅だ老夫婦と子の家族一家は

外出を控えて家族で見張りあう三日も過ぎればノイローゼになる

カラオケでデュエットすれば気も晴れる昨日はあの娘と今日はこの娘と

デュエットも互いにマスクして唄うハメとなりたりコロナ禍中は

コロナ禍のニュースでたまるストレスもここは堪えん胸突き八丁と

ニシン漁の経験無いがカラオケで挑戦してみる「ヤン衆子守唄」

コロナ禍でコミセン使えずカラオケはもっぱらYouTubeでの練習となる

チョットした皮肉のつもりが女たちアアでもコウでもないとムキになる(「森喜朗」会長発言以降)

岐阜高に無事受かりたるわが孫の渡米旅行の望みも叶いぬ

アクセルとブレーキの感覚鈍くなるここらで免許返納しよう

コルセット女の下着と思いしがわが身が装着するハメになる

年とりて階下の仏間に床移す先祖とお話しながら眠る

紫に開いて白に色変わるこのはかなさよ二オイバンマツリ

頂いたハイブリッドのプリウスは扱い難い老夫婦には

二回目のワクチン摂取ももう済んだこれで八十路を何年生きるか

颯爽と背筋を伸ばして歩く人に会うたび思うわが不甲斐なさを

ウグイスに生まれ変わりてあなたにはきれいな声の唄聞かせたし

二回目のワクチン済んで二週間経ちてようやくカラオケへ行く

生ビールひと口含みて香ばしきウナギを口にするこの至福

ラーメンの味付けいろいろあるだろうされどいつもの醤油ラーメン

砂防ダムの設置を訴え続けてきた地元の古参に協力しよう

コロナ禍で入院するのか濁流に呑み込まれるのかこの夏休みは

イソップの鶴カメ寓話が諭してる八十路を過ぎた夫婦のやりとり

トンネルを抜けた瞬間対向車西日の光の中に現る

カラオケで発音しにくいメロディに言葉が続く「安芸灘の風」

杖突いて帰る歩数を増やさんと近くの喫茶へ寄り道をする

猫が来ぬ間に早く飛び立てと巣立ちを急かす親雀かな

  

~ つれづれ短歌(その一) ~

           “鵜の目”のつぶやき       

       …絵巻物風…左下隅の(スタートボタン右上の)
                          グリーン色カーソルを左から右へ…

          (画像の上でクリックすると、拡大又は動画(カラオケ)が
            出るものが多数あります)

      画面の調節・短歌美人は→コチラ