八 月 例 会 (第五百八十八回)
           (令和元年八月八日)

テレビ点け幼い日から見て来たる鳥獣戯画をじっと見ている(長瀬武司)

散水に二重虹出て作りては消しつくりては消して遊ぶ(川島綾子)

夫逝きて二度目の盆を迎えたり年号改め令和となりて(河野かなゑ)

カサブランカの蕾なかなか膨らまず開くは今日かと待ちわびている(井上秀夫)

揺られ来て船窓に見る利尻富士蒼き魂今し近づく(熊崎佐千子)

好きなこと会えば二人で云い合いて老人病も怖さ蹴飛ばす(小椋勝宏)

薬屋で酒と肴を買いながらふしぎに思うこれも今様(土井信雄)(鈴木芙美子)

土俵際重ね餅して転落す遠藤勝って桟敷賑わう(古田司馬男)

限界に近いけれどもあがくなど全くなきぞうたもゴルフも(鈴木光男)

炎鵬が巨大な力士をねじり負かすその快感は憂さを消しゆく(鈴木寿美子)

梅雨寒に育たぬ夏の野菜高焼きなす酢もみ献立作れず(安田武子)

恕と一字中卒の時恩師より意味わからずで幾年過ぎた(山田テル子)

しとしとと梅雨はいつまでつづくのか部屋に干し物今日で三日目(久野高子)

ロッキーを眺めて育った孫娘飛騨で職終えやがて旅立つ(大西富士夫)