七 月 例 会 (第五百八十七回)
        (令和元年七月十一日)

八十路来ていい加減が多くなり程よい加減と捉えて納む(川島綾子)

春先のアスファルト舗装突き破るたんぽぽの葉を驚き見入る(鈴木光男)

花嫁の母と呼ばれて我が娘式場あちこち頭下げいる(河野かなゑ)

紫陽花は少ない雨でも元気なり眺めるわれも元気を出さな(丸山節子)

忘れても新しい事補えと欽ちゃんの言葉われを励ます(鈴木寿美子)

招かざる腰痛事故の後始末残る余生を人にやりたい(小椋勝宏)

女学校の焼け跡整理に焼けた町歩いて通いし敗戦の八月(鈴木芙美子)

片足立ち十九秒とは情けない八十四才の体力測定(古田司馬男)

面倒いをピチャピチャ煮つめて出来たジャム西日に照らされ赤く輝く(熊崎佐千子)

曾孫も見ず身罷し妻夢に立つ残念なれどこれが現実(大西富士夫)

この身さえ思いどおりに成らぬのに世界を憂うおこがましさよ(土井信雄)

二、三輪残りしつつじいとおしい 夫と眺めし令和のはじめ(安田武子)

久しぶり指をなめなめ針仕事昔見た母いまここに居る(山田テル子)

訳聞けば一人暮らしで寂しくて猫を殺して川へ捨てたという(長瀬武司)

「大声で笑いましょうよアハハハハ」口もあけぬ人ありデイのひととき(久野高子)

アジサイの花がブルーかピンクかは育てる人の気持ちで変わる(井上秀夫)