五 月 例 会 (第五百八十五回)
                   (令和元年五月九日)

燃えるとはよく言ったよな赤芽樫皐月の空へ気もち高ぶる(長瀬武司)

自民系勢力維持で安心す国体の捩じれあってはならぬ(古田司馬男)

恵那山を仰ぎ木曽川見下ろしておにぎり食べる苗木城址に(井上秀夫)

酒を買いとことこ我が家へ帰る路月と並んで吟行の夜(土井信雄)

買わにゃ駄目当たらぬものと知りつつも我が業深く又もや並ぶ(大西富士夫)

仕上げずに逝きてしまいし夫の絵のパティオに春の花は明るし(熊崎佐千子)

娘や孫ら日々是平穏花届きぬ上がらぬ株とひざ腰激痛(久野高子)

四年ごと声を張り上げ広めゆく日毎に新緑夏の景色に(安田武子)

門前に古き桜の咲くことを知らずにいたり亡き友の家(鈴木芙美子)

九十才何食べてれば長生きなの聞かれても困る普通の生活(丸山節子)

津波被害の更地に立ちて見渡せば彼方に広がる穏やかな海(川島綾子)

寒いはず昨日の雨は郡上では「雪と桜の共演」との記事(鈴木光男)

さまざまな人の入り来る選挙事務所票になるかと観察してる(鈴木寿美子)

出来るならいつ迄もこのわが風呂に憎き腰痛良くならないか(小椋勝宏)

万葉の世界知るに良い機会新元号で古典に目覚め(山田テル子)

同世代の陛下と共に生きて来し八十余年を振り返りみる(河野かなゑ)