十 二 月 例 会 (第五百九十二回)
             (令和元年十二月六日)

秋晴れに「即位パレード」晴れやかに国民挙って祝福をする(古田司馬男)

一人きり結婚記念日祝うのは今日拾い来し栗飯にする(川島綾子)

救急車、入院などと初体験足踏みをする終活の日々(安田武子)

十五夜に供えて愛でる人はなし月の呟き聞こえてきそう(土井信雄)

「ドカーン」とどこかでポンハゼ爆ぜる音響いてきそうな路地に踏み入る(井上秀夫)

伊勢湾を襲いし台風こわかった共に過ごしたみどり子は還暦(河野かなゑ)

秋刀魚飯さんまポロポロ入れよそう声なき席に冷めてしまいぬ(熊崎佐千子)

かさかさと風にさそわれ木の葉たち散りゆく頃だとささやいている(三宅利枝)

しんみりと一年ぶりの友が言う妻を施設に入れちゃったよと(鈴木寿美子)

背は曲がり動作はにぶく足は出ずこの難病が私のつれあい(山田テル子)

団子焼く匂い広がり公園の紅葉日ごとに色深まれり(鈴木芙美子)

湯気の立つ熱いのみものここちよい分け合う人なく長寿はむなし(久野高子)

病む妻の介護の日々に背を見せず明るい彼に頭が下がる(小椋勝宏)

暮れ方に昇る煙のゆらゆらと籾殻燃やすあちこちの里(長瀬武司)

錦秋の山道に咲くホトトギス目立たぬ花にほっと一息(大西富士夫)

冬きたるグランドゴルフに集う老い厚着でねこぜも元気はつらつ(鈴木光男)

車去り風にあおられ舞い上がる落葉のダンスまるでバレリーナ(杉本美津子)

人として生まれて死する我身なり一日一生生きんとするなり(平塚澄子)