十一 月 例 会 (第五百九十一回)
      (令和元年十一月十四日)

ざわめきも一気に鎮まるカラオケの演歌のさ中に詩吟がひびきて(井上秀夫)

平和主義正しいことは分かるけど力無しでは通れぬ世界(古田司馬男)

死して来ぬ金婚に買う白キキョウ「赤足しましょか」店員が言う(熊崎佐千子)

岐阜県は県境を七件に囲まれてそれぞれの町どんな暮らしを(川島綾子)

東京へデモに行ったよ若き日は今は子頼りスーパーまでも(鈴木芙美子)

ヨチヨチと幼子歩くその後を笑みながら追う杖をつく人(鈴木芙美子)

夕暮れの鐘の音響く坂道を大根さげて坊さんがゆく(長瀬武司)(鈴木芙美子)

孫娘青い目の娘等に浴衣着せ嬉しかったと写メール届く(山田テル子)

若き日の旅情あふれし千曲川悪魔となりてあばれてをりぬ(鈴木寿美子)

がむしゃらにただゆきて子育てに会えば花咲く同年夫婦(小椋勝宏)

三年前四十六名の会員もいまや二十八名グランドゴルフは(鈴木光男)

虫さされ手の甲赤くはれあがる 金木犀の香に誘われて(久野高子)

油絵のまっかな赤が誇らしげ緑いキャンバス曼珠沙華燃ゆ(三宅利枝)

十月半ばまだまだ暑く扇風機新しくしたればとたんに寒し(丸山節子)

腑甲斐ない国産力士もう一度国技の重み噛みしめてくれ(大西富士夫)

年とれば車の運転無理という移動の手段如何にしようか(河野かなゑ)

秋の夜の高き窓より輝ける新築市庁舎のしるしがみえる(安田武子)