四 月 例 会 (第五百八十四回)
      (平成三十一年四月十一日)

近頃の団地の子らが元気づく新入生の帽子が光る(長瀬武司)

懐かし い幼なじみの声を聴き帰りたくなるおらがふる里(土井信雄)

ウミネコかカモメかなかなか決まらない言い合っている竹島橋にて(井上秀夫)

真夜中に地震があって目が覚める断層のずれ少くと願う(古田司馬男)

中腹に棚雲まとう稲葉山正にはやりの天空の城(大西富士夫)

北国の友にカゴ編む縁側に春の差し色選る手の温し(熊崎佐千子)

マイハウスリバーサイドで空気よし長年すんだが気がつかなかった(山田テル子)

ひよどりが騒ぐとみればお隣の南天の実に四、五羽がせせる(鈴木光男)

久し振り炊き込み御飯におこげ出来童のように頬張り食す(川島綾子)

二六〇年戦無き世の江戸時代何か興味のわき来るこの頃(鈴木寿美子)

夕食の支度ととのいゆっくりとテレビの相撲に一喜一憂(鈴木芙美子)

卒業のひ孫英汰はしっかりと挨拶しわれに活を入れたり(丸山節子)

長良過ぎ二度とここには戻らない水の行方に人生重ねる(安田武子)

うらうらと春日をもらい庭すみの白木蓮は花を掲げる(小椋勝宏)

年だから車やめよと子らは言う代わりに羽根とエンジン欲しい(河野かなゑ)

北鮮の非核化の話題つぎつぎと不安と恐怖花冷えの朝(久野高子)