十 月 例 会 (第五百七十八回)
      (平成三十年十月十一日)

秋雨のあいだの良き日に運動会応援合戦花火のごとし(安田武子)

欧米人の日本人観が気に掛かる「兔小屋に住む働き蜂」とぞ(古田司馬男)

秋彼岸みな集まりてお参りし昔話にタイムスリップ(山田テル子)

たぎつ湯に枝豆の青踊る見てわれも小刻みボックス踊る(熊崎佐千子)

ろうそくの灯りの下で手際よく夫のつくりし美味しいおにぎり(鈴木寿美子)

停電で家電の全てがストップするろうそく立てて粗食で早寝(川島綾子)

用水を通りかかると鷺一羽じっと見てたが誰も来なんだ(鈴木芙美子)

特養に老いを深める母なれど今も忘れずわが顔だけは(土井信雄)

アイアンの素振り六百こなしたり足腰のねばりを意識しながら(鈴木光男)

長停電台風がもたらす暗闇に敗戦のころの日々が重なる(大西富士夫)

児童虐待受け入れる施設無いという日本の厚生情け無くなる(長瀬武司)

風が吹き地ゆらす天災地変にも人ごとなりと気にせず昼寝す(井上秀夫)

三人の友みな独りになりし秋寂しさの中にも安らぎのあり(河野かなゑ)

テレビでの「見ててくれよ」と総菜のそこまでやるのと心にひびく(小椋勝宏)

敬老と言われ祝われ有難し夜は子供らに招待されて(丸山節子) 

災害がおきぬように名月に手を合わせおれば夜風身に沁む(久野高子)

郡上より嫁のやさしき電話あり病みあがりとも思へぬ声にて(佐野きく子)