九 月 例 会 (第五百七十七回)
                (平成三十年九月十三日)

歯医者さんは主夫に頑張るわれおもい背を押すひとこと「歯茎がきれい」(鈴木光男)

べっこうの沖縄土産手に取れば厳しかりし舅の優しさ浮かぶ(川島綾子)

胸痛む戦後七十三年の新事実新聞記事に愕然とする(安田武子)

初対面の人でも握手をするを機に親しみ湧けり旧知のごとくに(井上秀夫)

翁長知事の死を嘆くかに裏山の山鳩は鳴くほろほろと鳴く(鈴木寿美子)

降り過ぎた雨に酷暑に台風の迷走もあり厳しい大自然(大西富士夫)

小鳥群れ向日葵畑におりたちてむさぼるように激しくついばむ(長瀬武司)

色褪せしぞうりに君は親指を転写せしまま三度夏行く(熊崎佐千子)

エアコンを夜昼つけてノラクラと長生きをして原発に反対す(鈴木芙美子)

マスコミの「命に関わる」気温予想はここまで来ると頷くしかなし(小椋勝宏)

敬老会こんなに長く生きるとは招待状愛く有難きかな(丸山節子)

君が子等五十路みそじと集まりて初盆に供う二人の宝を(山田テル子)

熱中症に水分補給と塩もなめ生きるも辛い又水を飲む(久野高子)

雀鳩カラスにとんび鴨に鷺鳥は友達散歩で出逢う(古田司馬男)

送り火のお鈴の音は闇に消え黄泉のくにへとあなたは帰る(河野かなゑ) 

猫亡くしさびしき夜の窓にきてやもり一匹何かもの言う(佐野きく子)