七 月 例 会 (第五百七十五回)
              (平成三十年七月十ニ日)

カエル捩り信楽焼を吾が庭に六個並べて客を迎える(長瀬武司)

早苗田の稲の整い鮮やかにそぼ降る雨のありがたきかな(古田司馬男)

混む電車青年シニアに関ゆずる連鎖反応我にも席くる(川島綾子)

上手だね小枝てきぱき切りそろへ花束横へ来る人を待つ(小椋勝宏)

勇ましき御前太鼓に気おされて飛騨にアザミの花咲き始む(熊崎佐千子)

八月は反核平和を詠いたし戦中戦後を生きた私は(鈴木芙美子)

紫陽花が今年も咲いて赤い花小雨にぬれて鮮やかに見ゆ(福田時子)

喜寿過ぎた夫婦で運転する車気づかい多く助手席疲れる(井上秀夫)

青草の繁れるままの坪庭を老猫とわれ眺めておりぬ(佐野きく子)

雑草を抜きん出て咲くモミズリは今年もすっくと天に向かいて(大西富士夫)

夫逝きて庭の草木も雑然と尚も伸びゆく誰か伐ってと(河野かなゑ)

畜産センターの広い芝生を歩きたり四羽のカラスと梅雨の晴れ間を(鈴木光男)

満開のしだれ桜に魅せられて三十一文字に景色を詠う(安田武子)

梅雨空の晴れ間お待ちて竿を出す昔のことか今は室内(山田テル子)

ジェットスプレーを浴びてもがきて一匹の蜂死にゆくを見てしまいたり(鈴木寿美子)

式おえて二人は元気にアメリカへ大谷選手を見ようと言って(丸山節子)