六 月 例 会 (第五百七十四回)
                 (平成三十年六月十四日)

「いい人ね!」言われた言葉が気にかかる褒められたのか蔑まれたのか(井上秀夫)

母の日に一緒に飯を食べようと郡上大和より電話ありたり(佐野きく子)

宇野昌磨もじゃもじゃの練習しないと言う向上心に感心をする(古田司馬男)

珍しく盛りになって猪食まず筍獲れ過ぎ配るに難儀(川島綾子)

ドアノブにひっかけられし紙袋鬼の歯のぞく竹の子入りて(熊崎佐千子)

真夏日に雪仰ぎつつ散歩するナンジャモンジャはいま花ざかり(安田武子)

麻酔せず四月の検診を無事終る八十余年もご苦労さまね(河野かなゑ)

スコップ持ちドスンと尻餅この姿頼まれ事もほどほどにせな(小椋勝宏)

少子化がもたらす事が目に余る何故対策が浮かばなかった(長瀬武司)

絵にかいたようなみどり萌ゆる朝初孫抱いて朝絵と名づけた(山田テル子)

今年も小さく白く咲いているミカンの花よ秋が楽しみ(福田時子)

雪形を見に立寄った鍋平救難ヘリが突如飛び立つ(大西富士夫)

若ものはカードでさっと支払えど小銭探してやっと出すわれ(鈴木芙美子)

にったりとまた出て来たよとどくだみがあかき芽を出す雨上りの朝(鈴木寿美子)

ピンク色のアジサイの鉢送りくる娘との絆かひざ腰痛し(久野高子)

何かへん異常気象かこの五月にごった風とさわやかな風(丸山節子)

不覚にもおのれの足が邪魔をしてかるい転倒気持は二十歳(鈴木光男)