五 月 例 会 (第五百七十三回)
         (平成三十年五月十日)

ひとひらづつポタッポタッと落ちてゆく役目を終えたモクレンの花(井上秀夫)

色白でみずみずしくてデッカクて見習いたいねその新鮮さ(山田テル子)

裏庭にスズランが咲き白い花小さく可愛いく風に揺れている(福田時子)

北鮮の和平の希い受け入れて首脳会談非核化成るか(古田司馬男)

マーク見て道をゆずりてくれる人小声で礼云い頭を下げる(川島綾子)

古希をすぎ十八切符ポケットにショートブーツで西に旅立つ(熊崎佐千子)

桜吹雪春おしみつつながめおり若葉芽吹きて衣替え近し(安田武子)

忌明け過ぎ次第にひとりに馴れてきし夫の表札在りし日のまま(河野かなゑ)

女性議員多くなりせば忖度する女も出現するのだろうか(鈴木芙美子)

大臣も短歌見習い答弁しそっとや確か使わざるべし(長瀬武司)

窓越しに若葉がゆれてペンとれどペンは走らず悔しいけれど(小椋勝宏)

刻々と過ぎゆく春を味わいつ追いかけ向う北の信濃路(大西富士夫)

「きれいだね」さくら満開「きれいだね」株価の急落木洩れ陽揺るる(久野高子)

美しい山の新芽はやわやわとゆでて食べればおいしかろうか(丸山節子)

ひたすらに歌番組を探し出し乱れる気分を静めんとする(鈴木寿美子)

五歳まで預けられ居し母の里里の人らは優しかりしよ(佐野きく子)

「歯医者とは忘れるくらいが丁度いい」ほほえむ先生 土竜になりたし(鈴木光男)