二 月 例 会 (第五百七十回)
       (平成三十年二月八日)

友よりの賀状が届きなつかしく今年は嬉しい新春となった(福田時子)

老化ですといわれ納得初めての先のみえない道を歩みだす(鈴木芙美子)

収穫の秋を思いて鋏研ぎ五本の柿ノ剪定目指す(長瀬武司)

路地に遊ぶ子らに雪舞いいっせいに空あぐ口の半開きにて(熊崎佐千子)

良く噛めばいいことずくめ噛む癖をつけんと二十・三十と噛む(川島綾子)

むなしさを囃すがごとく救急車たびたび通る冬ざれの日に(鈴木光男)

青い目のすげ笠かぶった修行僧おかげ横丁の人ごみに立つ(井上秀夫)

おだやかな春の陽ざしを受けながら終り近づく平成を思う(鈴木寿美子)

主夫業で老老介護をしています賀状の添え書きに友を思いやる(古田司馬男)

今日も又話す人なく一日中わが家の音はテレビの音のみ(久野高子)

四季桜 枝の狭間に立ちのぼる祈りを込めし平和の吉書(安田武子)

点滴と酸素の管に絡まれど黄泉の世界の使者はまだ来ず(河野かなゑ)

夫婦箸並べてみたがしらじらしおせち料理もすきまぱらぱら(山田テル子)

とほき日の祖父母のくらし浮かびつつ朝より湯浴みする老いらの笑顔(佐野きく子)

人様に感謝して飲むコーヒーはゆっくりしみじみカップを手にして(小椋勝宏)

その昔平湯峠でロケ見物 颯爽と馬に原節子乗る(大西富士夫)