七 月 例 会 (第五百六十四回)
                   (平成二十九年七月十三日)

たらたらと汗流しつつ田草取る母思い出す私喜寿です(長瀬武司)

そっと来て用足す猫に鞭くれよわが庭まもる「龍のひげ」なら(井上秀夫)

死語となる男子に勝る女子はなし女は度胸男は愛嬌(古田司馬男)

天空の散歩道なる春日谷霧立ちのぼる茶畑にひとり(大西富士夫)

美しい早苗田眺め学徒の日田植えしたこと思い出される(丸山節子)

早乙女の手借りなくても青春と田植え終わりし広き田眩し(安田武子)

東京の娘に会いに行くつもりだんだん延びて青葉の季節(鈴木芙美子)

み社の賀寿のまつりに招かれて長良川の鮎粥いただく(佐野きく子)

初夏の陽につつまれコースの堀池でカラスが水浴びここちよさそう(鈴木光男)

病む母の手を取りし子は五十路でも息子も照れるはじめてのこと(山田テル子)

早朝にミサイル発射とテロ事件ふいの轟音に耳をふさぎぬ(久野高子)

Aちゃんと私の関係従妹違い初めて知ってもやもや消えたり(川島綾子)

身をつくし大義のために主を諫む重臣のいた江戸時代には(鈴木寿美子)

もの忘れ茶飲み茶碗思いつつ二階の部屋に明日は忘れじ(小椋勝宏)

亡き夫の植えしあじさい花ざかり墓前に供え友にも配る(小原千津子)

年と共に足腰自由に動かなく出不精となり淋しさ深し(福田時子)