大統領就任の儀でガラス割る乱暴するな世界の目が見とる(長瀬武司)
ウイン・ウインも時にはロスを受け容れて生き合うことこそ地球人なのに(横山 稔)
尖閣は日米安保の守備範囲トランプ政権頼れるメッセージ(古田司馬男)
和装して生演奏の「春の海」歌声喫茶の新年初まる(鈴木芙美子)
空襲の話題に火が付きとめどなく話しつきない昭和一桁(大西富士夫)
お昼どき「食べてみてよ」と手作りのおかずを互いにやりとりしてる(井上秀夫)
突然にデモクラシーはと訊ねられ戸惑うわれは老化のすすむ(鈴木光男)
枕辺の時計チクタク休みなし黄泉の世界へ近づく音だ(河野かなゑ)
八十の歳になるとは想定外一喜一憂して日々乱れをり(鈴木寿美子)
ホテルに超特大の姿見が我を正直に写して嘆かす(川島綾子)
春の陽の椿に遊ぶメジロ二羽窓辺の床の影もいそがし(熊崎佐千子)
一日に何度も大きなくしゃみでる春は嬉しくも花粉症つらく(丸山節子)
大相撲やっと誕生横綱に稀勢の里の晴れやかな姿(福田時子)
独り居の増えゆく近隣花苗を仏花にしませ配りて廻る(小原千津子)
今年こそ想定外などおこらぬ様吾が健康も重ねて祈願す(久野高子)
寒空に老の骨折甘くみたりリハビリ励む春は遠くに(山田テル子)
好物の藷の切干並べおり如月の風窓辺に受けて(佐野きく子)