ニ   月   例   会    (第五百五十八回)
                (平成二十八年ニ月九日)

「AI」に導かれて解くこの子らよ 出番あるか生身の教師に(横山 稔)

金眼鯛の干物にリンゴ酒一杯で微酔い気分ぞ今宵はイブとか(鈴木光男)

咲くもよし散りてやさしい山茶花の紅の花びら庭をいろどる(福田時子)

次年度の自治会会長決まらない最後はくじを引くことになる(井上秀夫)

おだやかな新春の陽ざしを受けつつも暮らしの不安膨らみてくる(鈴木寿美子)

えさ箱に寝ぐせつけたるヒヨのいてやがてけ散らすミカンの皮を(熊崎佐千子)

雑炊は具により好み分かれるがわれは好きなり 鮎雑炊が(古田司馬男)

半世紀賀状交わした友人が今年限りと小さく記す(川島綾子)

爽やかに酢の味喉を通り過ぐ紅ずわい蟹越前の宿(長瀬武司)

虹だ見よ空を輪切りに花咲かす山の彼方に夕焼けの雲(小椋勝宏)

満開の小さき枝に降りかかる雪花に添う四季桜の樹(安田武子)

大寒を待ってたように吹雪く空疼く右膝ひたすら春待つ(大西富士夫)

米寿祝い真赤なストール贈られる嬉しいけれどさてどうしよう(丸山節子)

近い友、遠くの友に長電話一日雪の降り止まぬ日は(鈴木芙美子)

朝焼けに橋も車も朱に染めて師走の一日せわしくはじまる(久野高子)

五年前ゲームの賞に賜ひたる和紙の紅バラいまだ褪せなく(佐野きく子)

雪溶けし畑に生うる小さき春いち早く咲くいぬふぐりの青(小原千津子)

はずされた家族旅行に思い知る退位を決意心おだやか(山田テル子)

雪持ちの竹の訓えは今も尚心に残るも父は在さず(河野かなゑ)