八   月   例   会    (第五百五十ニ回)
     (平成二十八年八月十一日)

職もなきデフレに長年苦しんだ民が選んだ
インフレ政策(井上秀夫)

目が合いし出口調査の娘さん「お呼びじゃないネ」と声かけ微笑む(鈴木光男)

日記帳うたに託して綴れたら夢は再び心を動かす(川島綾子)

モネの絵のそっくりさんが板取に人気湛えつつハスの花咲く(古田司馬男)

草刈機回しながらに進みゆく青き匂いの風が追い越す(長瀬武司)

冷蔵庫を開けて一瞬考える目差す目的何だったのか(鈴木寿美子)

チカチカと交叉するどく鮎のむれ珪藻多し川板取川は(小椋勝宏)

モネの池 水蓮分けて黒鯉が曲がりし胴を必死にゆらす(横山 稔)

傘をさし写生続ける先生は見る目と写真の違いに気付けと(安田武子)

草引きも部屋の掃除も人頼みひざ腰痛も生きるも辛苦(久野高子)

肥料買うつもりで入った店なのに並ぶ花苗つい買う花馬鹿(小原千津子)

有名人二人相つぎみまかりぬ同世代のうから案じて電話してみる(丸山節子)

公園に一本の立木合歓の花ねむりからさめてピンクさわやか(福田時子)

夏の夜の「精霊流し」の歌声の君にとどけと心に叫ぶ(熊崎佐千子)

新聞のおくやみ欄に目を通すふる里の友まずは事無し(河野かなゑ)

もの忘れ互いにふえて家族より同級生よとお喋り止まず(鈴木芙美子)

とほき日の学友の墓詣でたり中将姫のみ寺のほとり(佐野きく子)

早苗田に白鷺青鷺すっくと立ち恰も育つ稲守るよう(大西富士夫)

庭に出て草引きながら手をついた運を押えて まあいいかもね(山田テル子)