七   月   例   会    (第五百五十一回)
                (平成二十八年七月十四日)

新聞紙束ねつつふと思い付き加齢の早さと思い重ねる(長瀬武司)

この人のアルコール依存症治らぬか立ち話にも酒を匂わす(古田司馬男)

「北野北」標識のある街通り北野たけしがここに来たのか(横山 稔)

捨て難く仕舞込んだ下駄を出す歯の減り具合を懐かしく見る(川島綾子)

ともかくも何はともあれいよいよに参院選なり 重き一票(鈴木光男)

七十歳過ぎた女が流し目で唄うは「二時間だけのルージュ」(井上秀夫)

スーパーのチラシを見たと安売りを教える息子とス―パーへ行く(鈴木芙美子)

肯定も否定もせずに舛添さん都知事の椅子はそんなにいいのか(河野かなゑ)

またしても花火のような美辞麗句並べて民に期待持たせり(鈴木寿美子)

この年で啄木の歌すらすらとひとつやふたつは暗唱できる(小椋勝宏)

鈴生りの赤黄オレンジさくらんぼぽいぽい含めば笑みが零れる(安田武子)

爽やかに朝風にゆれるひるがおの花が咲いているピンクがきれい(福田時子)

ビル映す小さき稲田にカエル住む深き緑の昔を思う(熊崎佐千子)

米寿いま思い出しおり学徒にて戦闘機の翼鋲打ちしたり(佐野きく子)

「EU離脱」予想を越えた結果にて株価の動きいよいよねむれぬ(久野高子)

紫陽花の彩に魅せられ立ち止まり思わず拝む道三の塚(小原千津子)

イギリスに日本の企業二千社もあることを知る「離脱さわぎ」に(丸山節子)

片言の日本語喋る孫娘 言葉の壁を血縁で越す(大西富士夫)

カレンダーひと月過ぎてまたふえた裏の白無地用途やいかに(山田テル子)