二  月  例  会  (第五百四十六回)
           (平成二十八年二月十一日)

スッピンで冬の雲突く大公孫小学校の象徴として(長瀬武司)

鶏肉の苦手なわれも箸すすむ八丁味噌の鍋で食べれば(井上秀夫)

一瞬にネットが揺れたり蹴る球の出所隠す三人踊り(横山 稔)

神与う夫婦の生活楽しめと楽しみながら子孫を残せ(古田司馬男)

ホトケノザ確かなものが見つからず六草摘みて七草祝う(川島綾子)

「ファイトー」とふいに声かけくるる人ありて古刹の石段登りきる(鈴木寿美子)

鳥羽川を華麗にとびたつカワセミの姿に見とれしばし佇む(大西富士夫)

焚き火より取りいだす芋湯気あがる早く早くと子供ら騒ぐ(安田武子)

年始め井戸に投込む餅三切古き習わしに亡き父偲ぶ(小椋勝宏)

ラバウルより生きて帰りし上官は今年百才元気な便り(丸山節子)

これほどの気楽な老後あるなどと今まで思はず過して来たる(佐野きく子)

連日の株価暴落にいらだちぬ  難民の子等ほほえみ手を振る(久野高子)

兄弟会呑めば唄いし「戦友」をあの頃恋しと義弟の言えり(小原千津子)

久し振り挨拶交しいろいろと話をしても名前浮かばず(福田時子)

迷惑といわれているけど待たすより待つのが好きな私の生きかた(鈴木芙美子)

ピーピーと炊飯器の音に起こさるる竈で松葉を焚きし日はるか(河野かなゑ)