スッピンで冬の雲突く大公孫小学校の象徴として(長瀬武司)
鶏肉の苦手なわれも箸すすむ八丁味噌の鍋で食べれば(井上秀夫)
一瞬にネットが揺れたり蹴る球の出所隠す三人踊り(横山 稔)
神与う夫婦の生活楽しめと楽しみながら子孫を残せ(古田司馬男)
ホトケノザ確かなものが見つからず六草摘みて七草祝う(川島綾子)
「ファイトー」とふいに声かけくるる人ありて古刹の石段登りきる(鈴木寿美子)
鳥羽川を華麗にとびたつカワセミの姿に見とれしばし佇む(大西富士夫)
焚き火より取りいだす芋湯気あがる早く早くと子供ら騒ぐ(安田武子)
年始め井戸に投込む餅三切古き習わしに亡き父偲ぶ(小椋勝宏)
ラバウルより生きて帰りし上官は今年百才元気な便り(丸山節子)
これほどの気楽な老後あるなどと今まで思はず過して来たる(佐野きく子)
連日の株価暴落にいらだちぬ 難民の子等ほほえみ手を振る(久野高子)
兄弟会呑めば唄いし「戦友」をあの頃恋しと義弟の言えり(小原千津子)
久し振り挨拶交しいろいろと話をしても名前浮かばず(福田時子)
迷惑といわれているけど待たすより待つのが好きな私の生きかた(鈴木芙美子)