十  一  月  例  会  (第五百四十三回)
           (平成二十七年十一月十二日)

焼きたての秋刀魚に酢だちと大根のおろしをそえて秋を味わう(井上秀夫)

「可愛いいね」孫が笑いをこらえてる入れ歯はずした私をみつめ(安田武子)

車窓より捻じ込められし幼子は瞳は澄めど震えとまらず{シリアの難民}(横山 稔)

標高の数字に惚れて単独行一、二三四揖斐の貝月(大西富士夫)

お互いに物忘れすること嘆きつつそれも忘れて友と老い行く(鈴木芙美子)

安倍さんを大好きと言う人のあり我も同感国政を頼む(古田司馬男)(脇原貞子)

幼き日郷里離れた友在りあの頃食べしうみ柿を買う(長瀬武司)

孫結婚われは書絵の着物着て晴れの舞台で孫の手を引く(川島綾子)

澄み渡る空に鳶舞ふこの平和壊してならぬ「安保」は通れど(河野かなゑ)

東北へ年に数回ボランティア乳癌病みたる姪の生きかた(丸山節子)

道端にアカマンマ咲くままごとの幼い頃を思い出させて(福田時子)

「よう来たな」言いくれし人皆逝きてひとしお遠くなりゆくふる里(小原千津子)

真っ白な満月を見つ今宵こそ安定剤を飲まずに眠ろう(久野高子)

額縁の夫もさぞや驚かん由紀さおりのCDに合わせる吾を(佐野きく子)

若き日に逝きたる友と星見てる夢から覚めぬ 夫の呼ぶ声(鈴木寿美子)