十  月  例  会  (第五百四十二回)
           (平成二十七年十月八日)

連れ合いが苦労するから今がある入浴介助うれしく受ける(古田司馬男)

男なのか女なのかが判らない女心を唄っている人(井上秀夫)

推敲は創作と学ぶそれ以後はくりかえし読み声出して詠む(横山 稔)

天災の多き日本を嘆くとき安保法案可決の人災(鈴木芙美子)

加齢とは悲しきものよ我が爪が凶器となりて我が身傷つけ(大西富士夫)

道端の色とりどりのあじさいが進み行くほど鮮やかさ増す(脇原貞子)

私は見た非人間的なダマシウチ安保法案議決の瞬間(鈴木寿美子)

深海魚子供孕んで釣り上がる泣きつつ伝える女性のアナは(長瀬武司)

親孝行らしきをせずに過せしを悔やんで迎える敬老の日を(河野かなゑ)

移り行く季も気付かず看取る日々彼岸花の赤報せてくれぬ(小原千津子)

能を観て今日は歌舞伎に陶酔す腰痛忘れた不思議な二日(久野高子)

彼岸なり友より届く栗御飯自然に笑みのこぼれる夕餉(丸山節子)

何故そこでああしなかったと後の知恵ぱっと閃き後悔しきり(川島綾子)

いつの間にか年を重ねて米寿なり不自由あれど幸せに暮らす(福田時子)

デイサービスにて紅葉狩りの日喜びし夫の遺影は今日もにこやか(佐野きく子)

お彼岸に供うるおはぎに母浮かぶ作りつつ餡子食べ叱られた(安田武子)