七  月  例  会  (第五百三十九回)
           (平成二十七年七月九日)

山裾は家びっしりの里景色今の日本のくらし現る(長瀬武司)

カラオケに参加と最初に名を書かるる俺は人寄せパンダではないぞ(井上秀夫)

朝明けに寝ている頬に異物這うはたくと百足  咬まれず安堵(古田司馬男)

餞別に貰いしさつき半世紀飛騨の人情今も思い出す(川島綾子)

水張田を化粧鏡に稲葉山やがて青田に変わる時まで(大西富士夫)

沖縄の地上戦の録画見つ戦争は嫌と死ぬまで言いたい(鈴木芙美子)

犠牲者のゼロ報道にホッとするどんな時でもこうだといいな(脇原貞子)

野菜売り場の梅の緑が目に染みる香りも引き寄すさあー梅仕事(安田武子)

早朝の散歩の道に雀二羽えさをさがしてついばむでいる(福田時子)

カラフルな車左右に走りゆくバス待つ人なく今日も通過す(久野高子)

逝きし友四十代で悲しかりその倍生きて我は何をせし(丸山節子)

空襲の日毎年寺で鐘を撞く慣わしとなり幾年なるや(小原千津子)

少子化の世に我が家に授かりし嬰児の顔百面相して(河野かなゑ)

渾身の心をこめて主張する寂聴さんに心底敬服(鈴木寿美子)

目の手術終えたる友を見舞はむとブルーベリーをかかへて急ぐ(佐野きく子)

これほどに支持の少なき法案を進めた先に平和のありや(横山 稔)