五  月  例  会  (第五百三十七回)
           (平成二十七年五月十四日)

それぞれに喜寿の顔して集まれど昔と変わらぬ口調の友等(鈴木寿美子)

右見ても左を見ても桜花そぼ降る雨の風情を詠みたし(川島綾子)

寝ているや否やと耳もと旋回し確かめに来る憎っくき蚊のやつ(井上秀夫)

目と足に老いの知らせがあるという八十路の我は時々躓く(古田司馬男)

宵の宮神輿の上に立つ女リズム感あり粋に振舞う(横山 稔)

鳥羽川の澱みに浮かぶ花筏鯉が集まり水面を乱す(大西富士夫)

通学路今日も黄色い旗を持ち孫に負けじと声をかけていく(脇原貞子)

戦艦大和の乗組員と口癖の学校長をふと思い出す春(長瀬武司)

友二人施設に入りしと伝え聞く下手な歌など書きて又消す(河野かなゑ)

保守県も女性がトップで当選す元気を出して朝の体操(鈴木芙美子)

今日もまた無事に生きたり明日はすこし多く歩いて新緑見たし(福田時子)

吾が畑の春菜一面花盛り留守にしたれば蝶々のとぶ(丸山節子)

かっての日八十路の母を老いたると眺めしにいまわたしも八十路(小原千津子)

暮れなずむ色彩と光に吾をかさねよい日なりしと愛しく思う(安田武子)

城山に馬酔木の花が咲き居むか夫在りし頃よく登りたり(佐野きく子)

つぎつぎとカレンダーはがす四月一日エープリルフールなれど無事のみいのる(久野高子)