原発と戦争処理とが不安なり「学び」は不要かメルケルに学べ(横山 稔)
春までを孫の暮らした数ヶ月良いも悪いも我見て去りぬ(川島綾子)
その昔「アラビアンナイトの物語」楽しい世界はいづこへ行きし(鈴木寿美子)
動画にて流されたという処刑画は「イスラム国」に神不在なり(古田司馬男)
古希過ぎて「坊ちゃん風呂」に入りたり「泳ぐべからず」確かめながら(井上秀夫)
怒る顔笑う顔あり狐塚豊川稲荷の奥の院巡る(河野かなゑ)
特攻の親への思い涙する我が身かえりみ後悔しきり(脇原貞子)
アベックと口をすべらせ若者に死語と笑わる化石の我は(大西富士夫)
満開の梅にみとれて踏み出せば「止まって」とおさな 芽吹く蕗の薹(安田武子)
面影の亡父によく似てこし息子若く禿げしはわれの血脈(鈴木芙美子)
牡蠣料理のフルコースの宴終り小雪舞う帰路「アアおいしかったね」(久野高子)
新しき制服姿のナース達ほほそめながら一生懸命(丸山節子)
大垣の水門川のたらひ舟に乗りたきとわれ子に告げられず(佐野きく子)
お彼岸の暖かい日に風もなく父母の墓に双手をあわす(福田時子)
長生きは程々でよしと言い乍らオリンピックは共に見たかり(小原千津子)
昨日雲今日春霞なにゆえに御嶽山をかくさんとする(長瀬武司)