四  月  例  会  (第五百三十六回)
           (平成二十七年四月九日)

原発と戦争処理とが不安なり「学び」は不要かメルケルに学べ(横山 稔)

春までを孫の暮らした数ヶ月良いも悪いも我見て去りぬ(川島綾子)

その昔「アラビアンナイトの物語」楽しい世界はいづこへ行きし(鈴木寿美子)

動画にて流されたという処刑画は「イスラム国」に神不在なり(古田司馬男)

古希過ぎて「坊ちゃん風呂」に入りたり「泳ぐべからず」確かめながら(井上秀夫)

怒る顔笑う顔あり狐塚豊川稲荷の奥の院巡る(河野かなゑ)

特攻の親への思い涙する我が身かえりみ後悔しきり(脇原貞子)

アベックと口をすべらせ若者に死語と笑わる化石の我は(大西富士夫)

満開の梅にみとれて踏み出せば「止まって」とおさな 芽吹く蕗の薹(安田武子)

面影の亡父によく似てこし息子若く禿げしはわれの血脈(鈴木芙美子)

牡蠣料理のフルコースの宴終り小雪舞う帰路「アアおいしかったね」(久野高子)

新しき制服姿のナース達ほほそめながら一生懸命(丸山節子)

大垣の水門川のたらひ舟に乗りたきとわれ子に告げられず(佐野きく子)

お彼岸の暖かい日に風もなく父母の墓に双手をあわす(福田時子)

長生きは程々でよしと言い乍らオリンピックは共に見たかり(小原千津子)

昨日雲今日春霞なにゆえに御嶽山をかくさんとする(長瀬武司)

{今月から、原稿の較正担当者が井上から安田に変わりました}