三  月  例  会  (第五百三十五回)
           (平成二十七年三月十二日)

我よりも遅寝、早起きする妻の背に輝く
気力とこころね(古田司馬男)

十二時間の手術に耐えし義弟言う「あの世に閻魔は不在で良かった」(横山 稔)

力強く手をふり上げて種を播く文太さんはミレーの「種を播く人」(鈴木寿美子)

人の世の移ろい何故にかく速き旅籠の窓から雛がつぶやく(伊那街道・足助)(井上秀夫)

縫いぐるみワンともキャンとも云わないが目が可愛いと孫から貰う(川島綾子)

九条の解釈換えてこの平和壊さんとする人を許さじ(河野かなゑ)

待ち侘びたアマゴの解禁迫ったが今年の寒さに二の足を踏む(大西富士夫)

私の心もようとよくにてる変わりやすいなこの冬の空(脇原貞子)

道端にタンポポの花季(とき)外れて小さく咲くを思わず見いる(福田時子)

あさなさな戸を開けたれば老猫ら猫用の草好み食みをり(佐野きく子)

笑う山一番だよと妻を呼び朝日に向い拝む幸せ(長瀬武司)

わが描きし墨絵の雛を飾りいると友の言葉を信じ難かり(小原千津子)

社会保障費減らさるる世に生きていて「平穏死」の講座集う人多し(鈴木芙美子)

卒論のレポート仕上げし孫江利香卒業前に海外旅行(丸山節子)

テロ、殺人悲惨な争い終わりなき 二・二六はわが誕生日(久野高子)

咲き初めし白梅にふと口ずさむ校歌懐かし遠き日の友(安田武子)