一  月  例  会  (第五百三十三回)
           (平成二十七年一月八日)

信玄の使いを鵜飼でもてなした信長と聞き親しみの湧く(井上秀夫)

歌好きでのど自慢の人集いくるカラオケ喫茶の春の賑わい(古田司馬男)

懲りもせず玉葱植えて八百本穫れたら配らんあの顔この顔(川島綾子)

六年の長き旅立ちことなかれはやぶさ二号にエールを送る (河野かなゑ)

師走寒波体に沁みる総選挙の行く末結果を知らせるごとく(鈴木寿美子)

水俣病の母より生まれし幼な児のつぶらなる瞳がわれに問いかく (鈴木芙美子)

千年余漉き続けたる美濃紙の花嫁衣装を娘に着せん(長瀬武司)

「へしこ」喰うこの幸せは孤独なり欲しがる者がわれの他なき(横山 稔)

理想論高く掲げたマニフェスト谷間に喘ぐ民にも届け(大西富士夫)

立ち話日だまりぽかぽかいい気分を肌寒くする集団的自衛権(安田武子)

勧められ短歌に入って良かったと友は電話で礼言いくるる(小原千津子)

冬至より二、三日早く南瓜煮るいよいよ高齢すこやか願う(丸山節子)

父母の思い出つまるふる里が同じだという運転手に遇う(久野高子)

山茶花の散りてやさしきうす紅の花びら庭にしきつめられて(福田時子)

山頂に初日拝みし日のはるか百八つの鐘猫と聴き居り(佐野きく子)