購読の継続勧める販売人「新聞記者も大変だよ」と(鈴木寿美子)
青空に噴煙・紅葉同時に映ゆ 後にこの絵が地獄絵と知る(横山 稔)
秋蒔きの野菜数多を蒔き終えて雨待つ畑に雨降りそそぐ(川島綾子)
習い事無料が魅力の市の企画人の集り十人十色(古田司馬男)
ふる里は田舎なれども道路延び変わる姿で活気を見せる(長瀬武司)
行く予定していた山が噴火して安否気遣う友よりの電話(大西富士夫)
世界遺産宇治平等院を訪(おとな)いて仏像の笑みに引き込まれ笑む(安田武子)
後三年使えるのかと案じつつ更新免許証しみじみと見る(河野かなゑ)
非正規の孫と約束したけれど鰻丼たべず秋となりたり(鈴木芙美子)
秋深し夜鳴く虫の声よわく月もおぼろに雲に隠るる(福田時子)
胃の手術来月に決まり気がもめる本人平気に海外旅行(丸山節子)
台風去り庭の木犀の香に気づき窓を明くれば秋の陽まぶし(久野高子)
スーパーにて家族の数の海老を買ふ明け方の夢 目覚むれば独り(佐野きく子)
老いすすむわが町内の先おもう独居は六人子供は三人(小原千津子)