十  一  月  例  会   (第五百三十一回)
        (平成二十六年十一月十三日)

購読の継続勧める販売人「新聞記者も大変だよ」と(鈴木寿美子)

青空に噴煙・紅葉同時に映ゆ 後にこの絵が地獄絵と知る(横山 稔)

秋蒔きの野菜数多を蒔き終えて雨待つ畑に雨降りそそぐ(川島綾子)

習い事無料が魅力の市の企画人の集り十人十色(古田司馬男)

ふる里は田舎なれども道路延び変わる姿で活気を見せる(長瀬武司)

行く予定していた山が噴火して安否気遣う友よりの電話(大西富士夫)

世界遺産宇治平等院を訪(おとな)いて仏像の笑みに引き込まれ笑む(安田武子)

後三年使えるのかと案じつつ更新免許証しみじみと見る(河野かなゑ)

非正規の孫と約束したけれど鰻丼たべず秋となりたり(鈴木芙美子)

秋深し夜鳴く虫の声よわく月もおぼろに雲に隠るる(福田時子)

胃の手術来月に決まり気がもめる本人平気に海外旅行(丸山節子)

台風去り庭の木犀の香に気づき窓を明くれば秋の陽まぶし(久野高子)

スーパーにて家族の数の海老を買ふ明け方の夢 目覚むれば独り(佐野きく子)

老いすすむわが町内の先おもう独居は六人子供は三人(小原千津子)

うず汐の流れの激しさ古の軍(いくさ)にしばし想いを馳せる(来島海峡)(井上秀夫)