橋の下、陰で休めば川風がも少し休めと頬をなでくる(古田司馬男)
若き日のコンプレックスより放たれて「楽しく暮らす」が私のノルマ(鈴木芙美子)
常磐富士と言われる山の影黒く出で来し月は今宵名月(河野かなゑ)
テレビ消えふと気がつけば濁流が玄関先をとうとうと行く(井上秀夫)
ポエムでなく事実を理詰めで語られよ言葉の軽し総理の演説(横山 稔)
半数の自治体消えると危惧さるる頭をよぎる 産めよ増やせよ(大西富士夫)
我が山で松茸取れしその昔松茸御飯ふんだんに食べ(川島綾子)
場所ごとに強き異国の力士出づもっと頑張れ日本力士よ(鈴木寿美子)
掘り出ししいもは細くて指ほどでそれでも藷はいもの味する(丸山節子)
一杯にほんのり頬染む秋の宵白よりピンクへ酔芙蓉匂う(安田武子)
雨多く伸び放題の草引きてやっと種蒔く高値の野菜の(小原千津子)
酔芙蓉白く大きく花が咲き日暮れになるにピンクと変わる(福田時子)
隣り屋の一年坊やに声をかけ細くなりゆく月仰ぎをり(佐野きく子)
友来たり奥長良川のやな場にて塩少し振り下り鮎食ぶ(長瀬武司)