十  月  例  会  (第五百三十回)
        (平成二十六年十月九日)

橋の下、陰で休めば川風がも少し休めと頬をなでくる(古田司馬男)

若き日のコンプレックスより放たれて「楽しく暮らす」が私のノルマ(鈴木芙美子)

常磐富士と言われる山の影黒く出で来し月は今宵名月(河野かなゑ)

テレビ消えふと気がつけば濁流が玄関先をとうとうと行く(井上秀夫)

ポエムでなく事実を理詰めで語られよ言葉の軽し総理の演説(横山 稔)

半数の自治体消えると危惧さるる頭をよぎる 産めよ増やせよ(大西富士夫)

我が山で松茸取れしその昔松茸御飯ふんだんに食べ(川島綾子)

場所ごとに強き異国の力士出づもっと頑張れ日本力士よ(鈴木寿美子)

掘り出ししいもは細くて指ほどでそれでも藷はいもの味する(丸山節子)

一杯にほんのり頬染む秋の宵白よりピンクへ酔芙蓉匂う(安田武子)

雨多く伸び放題の草引きてやっと種蒔く高値の野菜の(小原千津子)

酔芙蓉白く大きく花が咲き日暮れになるにピンクと変わる(福田時子)

隣り屋の一年坊やに声をかけ細くなりゆく月仰ぎをり(佐野きく子)

友来たり奥長良川のやな場にて塩少し振り下り鮎食ぶ(長瀬武司)

名月を詠んでみようと 名月や光り輝く錦織選手 (久野高子)