八  月  例  会  (第五百二十八回)
        (平成二十六年八月十四日)

妊娠し出産をして子育てもするシングルマザーをおのこやわかるか(横山 稔)

伊豆を行く車窓より見る港町大きな津波を思ひ浮かべる(鈴木寿美子)

加齢臭嫌われているこの頃は風呂の勧めと着替えの勧め(古田司馬男)

渾身の意気込めうなる河内ぶし中村美律子に負けるものかと(井上秀夫)

経を読む僧も替わりぬ墓友も息子に変わりて施餓鬼法要(鈴木芙美子)

里芋の成長遅く小さくて球のしづくで願いは書けず(丸山節子)

夜叉ヶ池周りを囲む木に白く花と見紛うモリアオガエルの泡(大西富士夫)

紅の地に花咲く手提げ台湾の修学旅行の土産嬉しい(安田武子)

早朝の露に濡れいる半化粧花寂しげに頭をさげて(福田時子)

夜の更けてわが家に黄金虫(こがね)飛び来たりぐるぐるぐると電灯めぐる(佐野きく子)

三姫会と名付けて語らう月一度六十年を隣り住む友と(小原千津子)

茗荷にも早稲と奥手があるという今朝の薬味は奥手の茗荷(長瀬武司)

血を流し泣きわめきいる幼な子を見るにたえ得ず水飲みに立つ(イスラエル・ガザ地区の争い)(久野高子)

浴衣着て花火に行くと云う孫に誰と行くのか聞かずにおこう(河野かなゑ)