七  月  例  会  (第五百二十七回)
        (平成二十六年七月十日)

むらさきの花弁をびっしり縫い合わせまんまるボールとなりたる紫陽花(井上秀夫)

ユリ・センダン・ナンジャモンジャにヤマボウシ・ハンカチの木も咲く樹々のたしかさ(横山 稔)

君が代の高校生のコーラスが暫し引き込む岐阜国体へ(長瀬武司)

信長の自筆の手紙見つかりて熱田神宮にも天下布武示す(古田司馬男)

持ちてこしコーヒーケーキ目の前に孫夢中なりスマホが憎し(安田武子)

初なりの胡瓜一本手に取りて やっぱり畠は少し続けよう(丸山節子)

山腹を霧かけのぼり峰隠す束の間の晴約束をして(大西富士夫)

失うもの多しと思う八十路われスーパーで出逢う知人減りゆく(小原千津子)

「ドログバ」の名も覚えたりサッカーを見る楽しみの増えし老の日(鈴木芙美子)

仏壇に無事を願いて手を合わすこの平穏は? 「集団的自衛権」(久野高子)

ひるがおの花が今年もやさしく咲きさわやかな風にゆれている(福田時子)

草引きの後の一服熟したるブルーベリーを口にほほばる(佐野きく子)

思い出をしゃべり合いつつ次々と母の箪笥を空にしてゆく(鈴木寿美子)

独り居の姉は静かに罷かりぬ黄泉の世界で父母と逢いしか(河野かなゑ)