三  月  例  会  (第五百二十三回)
          (平成二十六年三月十三日)

日中の諍い報ずるテレビを切るわが解やあるいくさ回避の (横山 稔)

添い寝して昔話をしてくれし母が記憶の遠くより来る  (河野かなゑ)

山茶花の紅いろの花に春の雪雪の白さに冴え冴えと見ゆ (福田時子)

国守る一途で散った若者を心に拝む靖国神社  (古田司馬男)

参拝の長い五分をパトカーが車の後ろで待っていてくれた (井上秀夫)

大寒のわが玄関にカマドウマよくもまあ生きていたりしものよ (佐野きく子)

山峡にこきりこ節で人集めライトアップに浮かぶ五箇山 (大西富士夫)

釣り人と間を置く鷺も川面見る春の岸辺で微動だにせず (長瀬武司)

遅ればせながら蕾をのぞかせた蘭よ、遺愛の鉢の一つに (出町昭子)

年老いて夫といても寂しいと幼なじみの電話の長し (鈴木芙美子)

スキージャンプの葛西選手の目に涙こみあげてくる熱きものあり(丸山節子)

エコキュートの故障を告げるピーピーピー鳴る音はやさしけれども不気味(鈴木寿美子)

大島の記念に求めし寒椿つぎつぎ開くわが誕生日 (久野高子)

ほつほつと咲き初めし梅この梅の伐られて介護施設建つとう (小原千津子)

朝日さす山茶花散り敷く花びらを踏まないように子供たち行く (安田武子)