二  月  例  会  (第五百二十二回)
          (平成二十六年二月十三日)

夜遅く小声で電話呉れし友今は在さず雨の音する (河野かなゑ)

町内のパン屋と電気屋店閉めて残る八百屋を励ましている (鈴木芙美子)

宇治橋を渡れば白き鶏一羽首をふりふりあいさつにくる (井上秀夫)

年越しになりし失せ物元日の朝見付けたり見捨て給わず  (出町昭子)

鵜飼大橋、主塔は高く聳え立つ前後の手縄しっかり締めて(古田司馬男)

瀬戸内さんとドナルドさんの放談を聞いてわくわくどきどきしてくる (鈴木寿美子) 

日日に増す見渡す限り霜厚く一枚二枚とまあるくなれり (安田武子)

若き日の片知の郷を思い出す新年会で食べた鶏チャン(長瀬武司)

手作りの版画の賀状くれし人連絡とぎれぬ風花が舞う(丸山節子)

賜杯抱く稀勢の里を期待して祈る願いも届かざりけり (大西富士夫)

臘梅の匂ふ住まひにつれあひと穏しく過ごしし日をなつかしむ (佐野きく子)

独り居にようやく慣れぬしろがねの伊吹に向かい深く息する(小原千津子)

庭師来て木をかろやかに剪定す春の芽吹きを楽しみに待つ(福田時子)

入試から入学就活早や過ぎて難問解けぬ婚活の孫(久野高子)

安倍総理参拝の意図語るべし彼我と異なる死生観の差を (横山 稔)