十  二  月  例  会  (第五百二十回)
    (平成二十五年十二月十二日)

冠山の頂きに立ち眺むれば四方八方蒼き山並み(井上秀夫)

温暖化防止は火急のことなれど利害がからむ国際会議(古田司馬男)

こまやかな和食が遺産になるらしきあってはならじ虚偽のもてなし(横山稔)

黄葉の茗荷の「くき」が抜けてきてぼろぼろもげる感触を知る(梅村成佳)

小春日にスナップエンドの種をまく足痛よたよた元気を出して (丸山節子)

兄として為すべき事の出来なくて優しかりし妹の霊へ手合わす(長瀬武司)

デモをせし若き日のこと思い出す「秘密保護法案」通る気配す(鈴木芙美子)

喘ぎつつ最初で最後と登りきる竹田城址へ紅葉の中を(安田武子)

横断歩道杖つき渡れば親切に待ちくるる車に会釈を返す (小原千津子)

前の人スマホ押しつつゴッツンコ樹にぶつかりてまたも押し行く(久野高子)

オリオンや北極星を眺めつつ早朝ウオークへ一歩踏み出す (大西富士夫)

きらきらと色変わりゆく電飾の富士をやさしく弦月見おろす(鈴木寿美子)

つかの間の昼寝の夢に来し母が我が名を呼びぬはっと目覚むる(福田時子)

水戸黄門を一所懸命演じくれる中学生の真面目さ可愛い(出町昭子)

風蘭を求めし時に従き来たる越中みせばやそれのみ残る(佐野きく子)