十  月  例  会  (第五百十八回)
    (平成二十五年十月十日)

鈴虫のとぎれとぎれに鳴くを聞き白寿の兄の夜をきづかう(梅村成佳)

早朝の東京オリンピック決定のテレビ賑はし山鳩の鳴く(鈴木寿美子)

寝つかれず時はゆっくり刻まれて入院の朝の窓が明るむ(古田司馬男)

吊り橋を女の腰にしがみつき屁っぴり腰の男が渡る(井上秀夫)

次々とカラス田圃へ舞い降りて刈り行くコンバインの後を追いゆく(長瀬武司)

猟をせし父思ひつつ射的をし優勝したり施設のまつりに(佐野きく子)

わくわくとリボン解く手も踊ってる開けてうれしい花咲く湯呑み(安田武子)

涼やかに初秋の庭で虫の声聞きながら見る十五夜の月(福田時子)

来賓祝辞万歳三唱の敬老会コーラスの「昴」は少し進歩す(鈴木芙美子)

こんこんと湧き出る清らな柿田川映像見るたび心潤う(丸山節子>

燕越え槍ヶ岳越え辿りつく今宵の宿は二人に一畳(大西富士夫)

しっかりと口を開いてフリつけて唄う園児に未来拡がれ(出町昭子)

終となりし姉の電話の声の奥にきこえし虫の音今も忘れず(小原千津子)

消費税上げるやめろのヒアリング茶房の友は賛成という(久野高子)

窓際の鉄の風鈴音澄みてみちのくの旅蘇り来る(河野かなゑ)

血税の使途おそれいる議員が佳し政調費という中味問いたし(横山稔)