四月例会(第五百十二回)
(平成二十五年四月十一日)

出産に入学ふたりお見舞いと四月なかなか忙しきかな(後藤清子)

大相撲モンゴル魂に負けている大和魂で横綱をはれ(古田司馬男)

ロボットはもっと上手に歩くかも往来見定め杖つき歩く(出町昭子)

エドヒガン鮎告げ桜の咲き初めぬ彼岸を過ぎたる今咲き初めぬ(横山 稔)

ためらわず優先席に座りたり高齢者パス使うに慣れて(鈴木芙美子)

目の冴えて眠れぬままに思い出す陽炎を覚えし野外授業を(鈴木寿美子)

不戦の杜のさくら花びらゆっくりと渦を描いて池の面に散る(井上秀夫)

気の毒な名前つけられ此の花は春を呼びこむオオイヌノフグリ(大西富士夫)

花冷えに急いで一枚羽織る朝臆することなく咲き誇る梅(安田武子)

生きる為だけに生きこし八十年 振り返り見るも足跡もなし(河野かなゑ)

今年は枝いっぱいにとさみずき黄色い花がハラハラと散る(福田時子)

週三日通ふ施設に友の増えオセロ、入浴たのしみ数多(佐野きく子)

レジの人逢いたい人に似てるから少し混んでもこの列に並ぼう(小原千津子)

上りきてスカイツリーの揺れを知る老いたる妻と顔を見合す(梅村成佳)

冬中は炬燵の守で過したり庭の草々真面目にのびる(丸山節子)

小さきは丸ごと鍋へ放り込み母の真似して里芋を煮る(長瀬武司)

この春で最後の孫が卒業す今日は夫の十七回忌(久野高子)