三月例会(第五百十一回)
(平成二十五年三月十四日)

よっこらしょ よっこらしょと出してきたストーブしまうひな祭りの日(後藤清子)

寒椿赤きつぼみを開きおりかじかむ手さすり帰り来たれば(出町昭子)

雪の朝裏山一面きらめけりなんじゃもんじゃの花のごとくに(鈴木寿美子)

学校の時計塔止まりて四週間治さぬ訳をあれこれ思う(横山 稔)

妻君が「しげ吉」のウナ丼食べたいと今日はその日なり超おいしかった(古田司馬男)

陽の匂いふくむ布団にくるまりて明日の事は考えず寝ん(河野かなゑ)

乗りのいい曲に合わせてマイケルのムーンウォークのステップ踏む孫(井上秀夫)

親分の新五のように生きようと捕物帳のテレビに見入る(長瀬武司)

テレビ見て思わずニッコリする私幼顔したジャンプの少女に(鈴木芙美子)

早春を探し求めて百々ヶ峯元気印の老があふれる(大西富士夫)

若きらの作るハイカラ料理より水菜の煮びたしうまさかくべつ(丸山節子)

三度目のふる里の会楽しみにしていたる友突然に逝く(梅村成佳)

斬新な「abさんご」に目が泳ぐ掴み味わうこと出来ぬああー(安田武子)

内裏様四十年経っても変わりなく雛飾るわれは年々に老ゆ(福田時子)

ミシン踏む事少しあり小さき畑守りて独りの八十路を生きる(小原千津子)

四十日留守せしわれにすり寄りて離れずに居る家猫クウマ(佐野きく子)

好物のとりのから揚げ皿に盛り缶ビールあけ誕生日を独り(久野高子)