二月例会(第五百十回)
(平成二十五年二月十四日)

降参とパンツひとつの赤鬼が地に横たわる桃太郎神社(井上秀夫)

松が根のあちらこちらに福寿草われの育ちしふる里の庭(後藤清子)

初春を孫との旅も初めてと箸持つままに饒舌な夫(出町昭子)

タカの爪隠しひたすら時を待つアベノミクスに不安の募る(鈴木寿美子)

「始末して!みんなが迷惑犬の糞」立札の絵が訴えている(古田司馬男)

大西瓜美谷の施設へ送りしは青果市場の協力ありて(梅村成佳)

真っ直な祈りあふるる受験の子中埋めてほし穴空き絵馬の(横山 稔)

人恋うる歌番組を眺めつつ早くに別れた夫と子恋いし(丸山節子)

介護する立場でありしが此頃はされる立場で考えている(鈴木芙美子)

お彼岸を過ぎれば蛙鳴くという膝の痛みに春待ちわびる(大西富士夫)

届きたる宅急便より懐かしきとち餅草餅飛騨の香とび出す(安田武子)

テロ事件尊い生命何ゆえに救えざりしか雪降りしきる(久野高子)

失せ物の多くなりたり捜せども見つからなくて日が暮れてゆく(福田時子)

受章者のインタビューでのそつの無い答えに少し腹を立てたり(長瀬武司)

五年先はこんな歩きをするのだろう雪道杖つきおぼおぼ歩く(小原千津子)

わが干支の辰に腰痛背負はせて放ちやりたし遠くの空へ(佐野きく子)