十月例会(第五百六回)
 (平成二十四年十月十一日)

チョンまげが外人力士によく似合い大相撲は世界を寄り切る(古田司馬男)

しがらみにドジョウ宰相は身をよじる脱原発のハードル高く(井上秀夫)

外国へ俺は行かぬと言う夫私は一度オーロラが見たい(河野かなゑ)

なわばりの意識で行けばけものみち 人のみち行け日本と中国(横山 稔)

汽車ゴッコした頃のこと思い出す大八車を汽車に見立てて(梅村成佳)

何をしても赦されてしまう歳となり亡夫の歳超えわが道を行く(鈴木芙美子)

食べられぬ微熱があると病院に入れられし母は九十七才(鈴木寿美子)

新米をくれたる友の顔浮かべ気品と味を噛み締めている(長瀬武司)

上り坂今日はベンチで一休み墓洗うのは息子に任せて(出町昭子)

祝日と聞いてもすぐに休診を思い出せずに医者に出むけり(丸山節子)

両陛下お通りの道のおもてなし提灯かかげ花の手入れす(小原千津子)

人の世は山あり谷あり生きて来て友は老後を幸せと言う(加藤朝美)

盆過ぎに始まるという山の秋伊吹の尾根にアキアカネ飛ぶ(大西富士夫)

救急車次つぎ目の前走りゆく見上げる空に黒雲流れる(久野高子)

朝顔は明け方に咲き夕顔は恥じらいながら夕べに咲き初む(後藤清子)

雨が降り気温も下がり過しよくやっと秋らしく今朝の風涼し(福田時子)

とほく住む息子の愛でゐしはうき草店先に見て思はず求む(佐野きく子)

色づきし花水木の下立ち話怒りと憂い尖閣問題(安田武子)