四月例会(第五百一回)
(平成二十四年四月十二日)

花の中を南無阿弥陀仏妹は仏になって旅立ちました(古田司馬男)

情報に「サクラ」「やらせ」のみならず「ステマ」知りたり意味は隠密(横山 稔)

雛壇の五人囃子が真夜中に座敷で宴をくり広げてる(井上秀夫)

鷺草の植え替えされる種芋が篩の中に悦び踊る(梅村成佳)

遣る瀬無き悩みを持つか猪は山家の畑をボコボコと掘る(長瀬武司)

今日も来てよかったわネと言い合いてプール歩けば愚痴も明るし(鈴木芙美子)

逃げないで視ろと自分に言ひ聞かせ震災の記録のテレビ見てゐる(鈴木寿美子)

棚田にも麦青々と波打てりビール麦だとガイドは語る(河野かなゑ)

梅の香の間にまにふっといい匂い「ばぁーちゃん 団子」にうふっと笑まう(安田武子)

もくれんは毛皮のコートをぬぎましたわたしはまだまだ赤いはんてん(後藤清子)

何となく胸騒ぎして受話器とり友の急死を告げられている(久野高子)

啓蟄の今日と気付きて飼猫の肩に蚤とりの薬を擦りこむ(佐野きく子)

待ち侘びし温き陽を背に草を引く漸く来たり無心のひと刻(小原千津子)

たまったよ五百円玉弟より平泉へ行こうと誘いの電話(丸山節子)

吐く息の白き山道里山にアセビ ヒサカキ春を誘なう(大西富士夫)

朝夕の寒さに体がついて行けず痛い所が出て悲しい(福田時子)

公園の外へこぼれてきた球を杖に留めて児の来るを待つ(出町昭子)