子らよりのお年玉なり加湿付き電気ストーブに夫も脱帽(出町昭子)
若竹の短歌の会のみなさんは表情明るく落着きがある(古田司馬男)
指を以て曇りガラスにありがとう書いて今年の書き初めとする(後藤清子)
元気よく球を打ち合う初練習終えて楽しくお汁粉食べる(井上秀夫)
世の中の中流にいると思いしに子らは下流に流されている(鈴木芙美子)
はからずも骨を折りたる妻いとしきょうも買いたる「食べるにぼし」を(横山 稔)
寒ざらし郡上の川に浮かぶ鯉いまに大空泳ぐ夢見て(大西富士夫)
今は亡き姉と戦後を洋裁に励みしを思う朝のドラマに(小原千津子)
温き陽を見上げて伸びる水仙に負けじとのばす丸き背中を(安田武子)
草を抜く手元の陽だまりに虫動く不況の虫よ陽だまり探せ(久野高子)
把瑠都関ワタシヲウンデアリガトウ心の籠もる声が胸打つ(長瀬武司)
二、三羽の小雀今日は大勢で庭に降り立つ いい事ありそう(丸山節子)
すきま風わずかな開きもすうすうと何処から来るのかこの肌寒さ(福田時子)
大雪のニュースを見つつ祈りをり息子の運転恙なかれと(佐野きく子)
冬ざれの庭を色どる寒あやめあけぼの椿季を忘れず(加藤朝美)
正月は百人一首を楽しみきあの頃に還りて遊ぶ友欲し(鈴木寿美子)
若人の多くは村を離れゆき豪雪地帯の支援問わるる(河野かなゑ)