四月例会(第四百八十九回)
    (平成二十三年四月十四日)

地図見つつライブ会場探しゐるわれら二人の脳トレーニング(鈴木寿美子)

おしどりの北帰行の始まりぬ秋には揃って帰っておいで(加藤朝美)

せめて今日気温一〇度を越えてよと巨大地震の被災地思う(鈴木芙美子)

まだ寒い田圃とび立つ揚げ雲雀高い視線で病む国診てよ(大西富士夫)

連続の霜にやられた冬野菜形悪けれやわらかくうまし(丸山節子)

何につけ手を合わすこと多くあり東日本の人を思いて(後藤清子)

船に酔う心地しばらくつづきたり程なく報ず東北に大地震と(井上秀夫)

父とともにおさな子三人失いし嗚咽の男よ生きざらめやも(横山稔)

勇壮な一打ちごとにあつくなる艶増す腕和太鼓の乱舞(安田武子)

母と子が子宮検診奨めいるテレビチャンネル変えてと言う妻(長瀬武司)

尺八と和太鼓のみの音楽会繊細と迫力われは酔ひたり(佐野きく子)

無農薬の菜を被災地に送るなど私にできるささやかなこと(出町昭子)

山間の小さな空と笑う君満天の星を数えて来たか(井上まさよ)

あの角を曲ればほつほつ雪柳咲くひと叢があるから曲がろ(小原千津子)

手のひらにいっぱいメモ書く若きナース点滴持ちつつ車椅子押す(久野高子)

河口堰の魚道を登る鮎の群れ背色を染めて勢いつける(梅村成佳)

喜寿傘寿長生き祝う世にあらず姥捨山は三年待ちという(河野かなゑ)