宇宙より無事生還の野口さん首相辞任のニュースに霞む(河野かなゑ)
三十年先を見すえて今日を生く「孫」氏に学べ鳩山さんは(井上秀夫)
幽かなる星の口笛真夜に聞く眠りの入り口探せど見えず(安田武子)
遠退いてゆく母親の思い出の都忘れが声を出したる(梅村成佳)
誰もいぬ稲田に五位鷺うつむいて田の草取るがに首ふりあゆむ(林志げ)
久々に明るいニュースの「ハヤブサ」よ科学者達にエールを贈る (加藤朝美)
忘れずに夏至に咲く花半夏生名は知りおれど見るは初めて(丸山節子)
見るたびに声かけやれど飼猫となりても逃げる野良猫のキキ(鈴木芙美子)
突然にブブゼラの音心地よし網を揺らせし本田の一蹴り(横山 稔)
黄昏の芝生広場に人けなくサッカーボール一つ転がる(小原千津子)
虹の橋わたりて行きし友は今夕やけの道いずこを行くや(後藤清子)
参院選はじまりました無関心です絵に描いた餅は腹満たされぬ(久野高子)
言訳を自分自身にする我に今日も静かに日は暮れてゆく(福田時子)
怪我しても迷子になっても懸命に使命果たしし「はやぶさ」可愛ゆし(鈴木寿 美子)
おくゆかしい名に魅せられて鶯の落しぶみなる若葉を探す(大西富士夫)