九月例会(第四百七十回)
 (平成二十一年九月十日)

「春駒」の唄と囃に誘はれて盆の踊りの輪にまぎれたり(井上秀夫)

子や孫に曾孫も増えて賑々し煙ただよふ盂蘭盆の墓(河野かなゑ)

向日葵がかしら右する休耕田米を育てず花でいいのか(大西富士夫)

岐商勝ちFC岐阜勝つうまし夜は勝因ばなしにジョッキが似合う(横山 稔)

墓地に来てしみじみ思う畏れうせ墓碑にぎにぎと懐しさわく(林 志げ)

起きぬけの強張りし身をゆっくりとほぐす体操まじめな顔で(出町昭子)

ひと夏を鳴き崩したる蝉の声マスクした子の登校の列(梅村成佳)

山腹に出会いてコンニチハとすれちがう夜のゴンドラ電飾ともし(鈴木芙美子)

日盛りに選挙の車通り過ぎアオスジアゲハゆっくりと飛ぶ(加藤朝美)

新盆に弔問客は列をなしところかわれば習慣ちがう(丸山節子)

久久の国政選挙の迫り来て胸の高鳴りうねりを感ず(鈴木寿美子)

悲しさは少し遠のき独り居の気の向くままに夜更けのピアノ(小島美年子)

「おいでたかな」笑顔も温とし年越しの支度に帰るふる里は雪(吉田和子)

真っ白な羽根をひろげた鷺草に玉三郎の舞姿たつ(久野高子)

十五日十六人の墓まいり幼が柄杓で水撒きちらす(後藤清子)

介護疲れ癒さんとして庭に出で小賀玉の香に心遊ばす(佐野きく子)

人あたり良いとはこの事公園の芝生がふわっと足裏にやさし(大栗紀美子)

敬老会招待状にため息が暗闇に白き夕顔の花(安田武子)

悔多きわが青春よひたむきに愛みのらせし孫に喝采(小原千津子)