夏祭り終りて洗う子の浴衣水をふくみて鮮やかな藍(河野かなゑ)
群れ鰯うつろな白きまなこしてわが胸をうつ「潔」の「大漁」(横山 稔)
里の墓会いたる友との再会に川の流れはかわらねど友(浅野まつえ)
隣り家のつばめの巣をば狙えるか長きくちなわゆっくり進む(丸山節子)
平和の鐘ゴーン オン オンなりわたり人の祈りの美しかりき(後藤清子)
曇り空琵琶湖の上にあっ太陽白い光のリボンが眩しい(安田武子)
相撲道は遠く置き去りにされしまま品格なくせし外人力士(鹿野たつ子)
あらためて今の平和を噛みしめぬガダルカナルのビデオ見終へて(鈴木寿美子)
里山にルビーの如きウスゴの実口に含めば初恋の味(加藤朝美)
毎日の猛暑に足の痛みをりせみの声にも癒さるるわれ(福田時子)
小さきリュックに一升餅負いたどたどと一足二足ひ孫の誕生日(小原千津子)
師のうたを染め抜かれたる婚のれん渡し舟漕ぐ音も聞ゆる(出町昭子)
剣かざす武者が必死の形相でつかみかからんねぶたの祭(井上秀夫)
愚痴いえばうちに来たらとウカツにもいいし友あり純な心よ(鈴木芙美子)
若者の肉体うらやましオリンピックローマの時まで元気に生きたい(林 志げ)
寺めぐるツアーに加わりバス停でよく見る顔とばったりと会う(梅村佳成)
打つ雨に里芋の葉の話し声「痛いけれども子いもの為さ」(大栗紀美子)
法要に集ううからの代かわりオリンピックの話題盛り上がる(久野高子)