九月例会(第四百五十八回)
    (平成二十年九月十一日)

夏祭り終りて洗う子の浴衣水をふくみて鮮やかな藍(河野かなゑ)

群れ鰯うつろな白きまなこしてわが胸をうつ「潔」の「大漁」(横山 稔)

里の墓会いたる友との再会に川の流れはかわらねど友(浅野まつえ)

隣り家のつばめの巣をば狙えるか長きくちなわゆっくり進む(丸山節子)

平和の鐘ゴーン オン オンなりわたり人の祈りの美しかりき(後藤清子)

曇り空琵琶湖の上にあっ太陽白い光のリボンが眩しい(安田武子)

相撲道は遠く置き去りにされしまま品格なくせし外人力士(鹿野たつ子)

あらためて今の平和を噛みしめぬガダルカナルのビデオ見終へて(鈴木寿美子)

里山にルビーの如きウスゴの実口に含めば初恋の味(加藤朝美)

毎日の猛暑に足の痛みをりせみの声にも癒さるるわれ(福田時子)

小さきリュックに一升餅負いたどたどと一足二足ひ孫の誕生日(小原千津子)

師のうたを染め抜かれたる婚のれん渡し舟漕ぐ音も聞ゆる(出町昭子)

剣かざす武者が必死の形相でつかみかからんねぶたの祭(井上秀夫)

愚痴いえばうちに来たらとウカツにもいいし友あり純な心よ(鈴木芙美子)

若者の肉体うらやましオリンピックローマの時まで元気に生きたい(林 志げ)

寺めぐるツアーに加わりバス停でよく見る顔とばったりと会う(梅村佳成)

打つ雨に里芋の葉の話し声「痛いけれども子いもの為さ」(大栗紀美子)

法要に集ううからの代かわりオリンピックの話題盛り上がる(久野高子)

蚊にさされわが耕しし二坪がやうやく畑の形をなせり(佐野きく子)